ダイバーズウォッチでは当たり前の装備として標準的に使われている機能が逆回転防止ベゼル。読んで字の如く、反時計回りにのみ回転する仕組みになっています。
なぜかというと、通常ダイビングをする際には本格的な場合酸素ボンベを背中に背負ったりします。アマチュアの場合20メートルほど潜るのですが、水深が深くなるにつれレベルが高くなります。もちろん水面から遠ざかるので暗くなるし、水面に辿り着くまでの時間もかかります。
水中では手で合図を送ったり読み取ったりはできますが、細かい会話などは不可能となります。なので水中に入る前に何分後に出てくるかを決めておくわけですが、この際にダイバーズウォッチが役立ちます。
逆回転防止ベゼルを使い、始点を現在の分針に合わせるのです。
こうすることにより、水中で時計を見ても何分経過したのかが容易に確認できるのです。
この時、操作を間違ってベゼルを動かしてしまう可能性があります。時間が縮まることはあってもさほど問題ありませんが、時間が増えてしまうことは場合により命に関わる事故のもととなります。
しかし逆回転防止ベゼルのように、反時計回りにしか動かない仕組みになっていることにより誤作動を防ぐことができ、あってはならない最悪の状態を防ぐことができるようダイバーズウォッチは設定されています。
じゃあダイビングをしない人にはダイバーズウォッチは必要ないのか?とい聞かれるとそういうわけでもありません。
日常の暮らしの中で時間を管理しなければいけないシチュエーションはよくあります。
例えば車に乗っている場合、路肩にあるパーキングに止めてパーキングメーターを作動させる状況があったとします。
もちろん、入庫した時間をちゃんと憶えていられたら問題はありませんが、何か用事があり路駐することが多いです。用事をしている間に「あれ、車停めてどれくらい時間経ったっけ?」という事はよくあります。
こんな時に役立つのが逆回転防止ベゼルなのです。
駐車した時点で分針にベゼルの始点を合わせておくだけで、駐車してから何分経過したのか簡単に知ることができるのです。
また、不定期で昼休みに出る人などにも使えます。会社から出る時間にベゼルをセットしておくと、休憩時間が後どれくらいあるのかが簡単にわかるのです。
分針が一周してしまうとどれくらい経過したのかがわからなくなるので、実際に使えるのは1時間以内となるのですが、せっかくなので日常でも活用したいダイバーズウォッチの便利な機能です。
たまにあるのが、ベゼル部分の数値の配列が反時計回りになっているタイプがあります。
この場合だとスタートから何分経過したという考え方ではなく、上限の時間をセットしておくことで後何分あるのかを簡単に知ることができるのです。
時間の管理ツールとして使うと、ダイバーズウォッチは夏だけではなく一年中使えるのです。
バイヤー:合田圭四郎

正美堂時計店 ウォッチバイヤー兼時計修理三級技能士 合田圭四郎
主な専門分野
腕時計や懐中時計の仕入れ、販売、オリジナルウォッチのデザインや組み立て。スイスで開催されていた世界の見本市バーゼルワールドや香港ウォッチフェアーなど国内外の展示会への参加。秋葉原にて毎年懐中時計の展示会を開催
時計知識を深めお客様に時計の魅力をお伝えするため、2009年より毎週日曜日YouTubeにて時計に関する勉強会動画を配信。
背景
1979年、高知県高知市の老舗呉服屋の四男として誕生。時計好きが高じて2006年より正美堂時計店に入社。フライトジャケットやジーンズなどアメカジ、バイクをこよなく愛する。あらゆるお客様の環境を理解するため、腕時計は常に左右両方に着用。2019年、正美堂時計店創業50周年の節目の年に正美堂オリジナルウォッチを開発。
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