時計情報誌やカタログなどを見ていると、当たり前ですが時計本体について詳しく書かれていることはあっても付属品についてはあまり触れられません。
店頭でお客様にお買い上げいただいた際、たまにBOXは要りませんと言われる場合があります。家族の方に内緒で購入する場合などもあるので、その場合はこちらで処分させていただいたりします。
後々のメンテナンスを考え何とか保証書だけは持っていただくようお渡しするのですが、BOXはたまに引き取ってもらえない場合があります。
ブランドにもよりますが、実は箱の価値が高い物が時計には多く存在します。
特殊なモデルになりますが、ウォルサムの限定モデル(1000万円クラス)では寄木で彩られた芸術品クラスの専用箱なんかが存在します。
そこまでいけばかなり特殊な例になりますが、おもしろいボックスが存在します。
当店では取り扱いがありませんが、クエルボ・イ・ソブリノスはボックス自体がシガーケースになっていて、水を少し入れることにより適度な湿度が保たれ、葉巻を保管する事ができるのです。
J&Tウインドミルズは、箱自体がジュエリーボックスの用にトレーがついていて、小物を収納する事を前提にボックスが製作されているのです。
アメリカンミリタリーウォッチブランドのMTMや、ロシア製ミリタリーウォッチのボストークヨーロパは重厚なプラスティックケースになっており、時計にかぎらずいろいろなものを収納できる構造になっているのです。持ち運ぶ取っ手がついているので、釣り道具など持ち歩くにも便利なのです。
ティソのスポーツシリーズであるMotoGPの限定モデルは、ヘルメット型のボックスになっているのでしまっておくにはもったいなく、ぜひ飾ってほしいと思えるクォリティです。
しかも機械式モデルの限定では、何とボックスにワインディングマシーンが内蔵されているので、時計を着用しない時はボックスに収納することにより、ゼンマイを止めること無く現状をキープできるのです。
とりわけ個人的にユニークと思っているのは、U.S.AGENCYというミリタリーウォッチのボックスです。こちらは時計の箱という概念を超え、何とボックス自体がダミーの本になっているのです。本のタイトルは「ザ・ホワイトハウス」。もともと時計のシリーズ名にFBIやCIAなどの機関名をつけるユニークな時計ブランドなのですが、よく見るとボックス内部のクッションを取り外すことができ、中身が完全に空洞な状態にできるのです。
見た目は単なる本にしか見えないので、大切なモノをこのボックスに入れておき本棚にしまっておくだけで他人にはなかなか気づかれにくい、秘密の隠し場所となるのです。
時計本体ではなく付属品なので、あまり注目されることはありません。付属品であるため予告なく変更を余儀なくされる部分なのですが、付属品は時計の隠れた魅力でもあるのです。
バイヤー:合田圭四郎

正美堂時計店 ウォッチバイヤー兼時計修理三級技能士 合田圭四郎
主な専門分野
腕時計や懐中時計の仕入れ、販売、オリジナルウォッチのデザインや組み立て。スイスで開催されていた世界の見本市バーゼルワールドや香港ウォッチフェアーなど国内外の展示会への参加。秋葉原にて毎年懐中時計の展示会を開催
時計知識を深めお客様に時計の魅力をお伝えするため、2009年より毎週日曜日YouTubeにて時計に関する勉強会動画を配信。
背景
1979年、高知県高知市の老舗呉服屋の四男として誕生。時計好きが高じて2006年より正美堂時計店に入社。フライトジャケットやジーンズなどアメカジ、バイクをこよなく愛する。あらゆるお客様の環境を理解するため、腕時計は常に左右両方に着用。2019年、正美堂時計店創業50周年の節目の年に正美堂オリジナルウォッチを開発。
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