時計は、基本的に文字盤がガラスで覆われています。例外としては目の悪い方のためにある盲人用の時計などありますが、基本的にはガラスで文字盤や針が覆われています。
懐中時計にはよくミネラルガラスが採用されています。強化プラスチックが使われていて、飛行機のガラスのように、粉々に散ってしまわないガラスが採用されています。懐中時計が現在の腕時計のように当たり前に使われていた時代は、本当のガラス素材を使っている時計も存在していましたが、現在ではほとんどガラスが使われることはありません。
懐中時計に表ブタがついているモデルのことを、ハンターケースと呼びますが、この理由には諸説があり、狩猟をしていたハンターがポケットに入れて狩りをしていたところ、前のめりで隠れている時に時計のガラスが割れてしまったことから、ガラスを保護する目的で蓋付きの懐中時計が開発されたとも言われています。※あくまでも説なので、本当の情報かどうかは不明。
ミネラルガラスはバリンと割れることはありませんが、プラスチックなので小傷が入りやすいです。プラスチックという響きがチープな印象を与えるのか、時計の説明をしているときなど強化プラスチックと伝えると怪訝(けげん)な顔をされる時があります。
ネガティブなイメージがミネラルガラスにはあるようですが、それはいい部分を見ていないだけの意見で、ミネラルガラスの良さはちゃんとあります。
最悪割れてしまっても、家の窓に使われているガラスのように粉々に割れてしまう可能性は低く、まずヒビが入るようになっています。さすがに割れてしまってはガラス交換しかありませんが、文字盤や針がむき出しになってしまう可能性が低いので、ゴミなどの異物が内部に入り込む可能性も低いのです。
また、少々の傷であれば簡単に消せる、という部分はミネラルガラスの最大の魅力であります。専用のコンパウンドを少々塗りこむことで、傷が付く前の状態に戻せてしまうのです。大げさではなく、浅い傷であればまるで購入当初のように傷を消せてしまえるのは結構驚くべきことで、初めて自分の時計で試した時にはかなり嬉しく感じました。
古い時計を見ると、ドーム型のガラスをよく見かけますが、これはミネラルガラスが使われていることがほとんどです。
安っぽい素材だからと敬遠される事の多い強化プラスチックですが、確かにリーズナブルな素材ではあるけれど、それなりに使われているモデルも多く、しっかりといい面もあるので時計の趣向によっては選ぶべき素材と言えます。
バイヤー:合田圭四郎

正美堂時計店 ウォッチバイヤー兼時計修理三級技能士 合田圭四郎
主な専門分野
腕時計や懐中時計の仕入れ、販売、オリジナルウォッチのデザインや組み立て。スイスで開催されていた世界の見本市バーゼルワールドや香港ウォッチフェアーなど国内外の展示会への参加。秋葉原にて毎年懐中時計の展示会を開催
時計知識を深めお客様に時計の魅力をお伝えするため、2009年より毎週日曜日YouTubeにて時計に関する勉強会動画を配信。
背景
1979年、高知県高知市の老舗呉服屋の四男として誕生。時計好きが高じて2006年より正美堂時計店に入社。フライトジャケットやジーンズなどアメカジ、バイクをこよなく愛する。あらゆるお客様の環境を理解するため、腕時計は常に左右両方に着用。2019年、正美堂時計店創業50周年の節目の年に正美堂オリジナルウォッチを開発。
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