時計の価値をどこに見出すか

タイタニック号の乗客が持っていた懐中時計英国の競売で178万ポンド(約3億6500万円)で落札されたというニュースを見ました。

遺品としては過去最高額という金の懐中時計は、所有者が妻から1912年、43歳の誕生日に贈られたものと言われてます。

一族に代々受け継がれてきたこの懐中時計には、文字刻印が刻まれることで世界に一つだけの一本となっており、時刻は船が沈んだとされる午前2時20分頃を指したまま。オークションで出品されたということは、遺族が何らかの理由で手放したからと考えられますが、せっかくなんで新しいオーナーにはこの懐中時計を復活させてほしいと個人的には思います。

歴史的な事故から残った貴重な遺物ではありますが、100年以上経った現在も無事に動いている姿を見せることで、止まらずこれからも新しい歴史を刻んでくれる時計になってほしいなという願いがあるからです。

たまに入荷してくる精工舎(現セイコー)の飛行時計は、日本の戦闘機であった零戦のコックピットウォッチとして一般販売されることなく、特攻で玉砕するために生産されていた時計。

懐中時計の形ではなかったんですが、外装の劣化が酷く修復不能ということもあり、実用できるよう懐中時計の外装へ、しっかりと使えるよう戦後の15石ムーブメントに交換するなど、実用品としてカスタムしています。

当時の状態を当時の姿で維持するのも一つの価値。昭和の戦争で玉砕し役目を果たすはずだった時計が、令和の現代でも元気に動き、歴史を刻み続けているのも、一つの価値と言えるでしょう。

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