目覚まし時計やアラームの音と聞けば、多くの人が思い浮かべるのはビープ音やブザー音などの電子音、ジリリリと鳴り響く目覚まし時計の音となります。
今の時代では電子音が当たり前で、機械式はなかなか見ることがありません。腕時計ではレビュー・トーメンやバルカンが機械式アラームの「クリケット」を製造していました。
クリケットとは日本語にするとコオロギの事なのですが、これはアラーム機能を使ってみると理解できます。設定した時刻になると、内部にあるハンマーが機械を叩く構造になっていて、この音がまるでコオロギの鳴き声のようだということからクリケットと名付けられました。
内部でハンマーが時計を叩いているわけですから、音だけでなく振動も加わり、音が聞こえづらい環境でも振動でアラームに気づきます。電池を一切使用せず動くアラームなので、ゼンマイを巻き上げる必要がありますが、わざわざ巻いて使いたくなるほど愛着が湧いてきます。
電池式のアラームにいちいち感動することはありませんが、機械式アラームは人にわざわざ聞かせたいと思える機能の一つであると言えます。
複雑な構造なので結構な金額のモデルが多い中、ロシア製ウォッチのシュトゥルマンスキーは、6万円程度で機械式アラームが手に入ります。ソ連時代より国営であった、モスクワ第一時計工場で生産されていたデッドストックのムーブメントを使用していますが、このムーブメントは新たな生産がされておらず、今後は機械が無くなっていくので貴重な存在と言えるでしょう。
現行のデジタルや電池式時計にはない魅力が、機械式アラームでは楽しむことができるのです。
バイヤー:合田圭四郎

正美堂時計店 ウォッチバイヤー兼時計修理三級技能士 合田圭四郎
主な専門分野
腕時計や懐中時計の仕入れ、販売、オリジナルウォッチのデザインや組み立て。スイスで開催されていた世界の見本市バーゼルワールドや香港ウォッチフェアーなど国内外の展示会への参加。秋葉原にて毎年懐中時計の展示会を開催
時計知識を深めお客様に時計の魅力をお伝えするため、2009年より毎週日曜日YouTubeにて時計に関する勉強会動画を配信。
背景
1979年、高知県高知市の老舗呉服屋の四男として誕生。時計好きが高じて2006年より正美堂時計店に入社。フライトジャケットやジーンズなどアメカジ、バイクをこよなく愛する。あらゆるお客様の環境を理解するため、腕時計は常に左右両方に着用。2019年、正美堂時計店創業50周年の節目の年に正美堂オリジナルウォッチを開発。
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