スイス製機械式懐中時計の心臓部分に使用されるユニタスムーブメントには、大きく分けて二種類存在します。12時方向にリューズがあり、対面の6時方向にスモールセコンドがある、キャリバー6497。主に蓋のないオープンフェイスの時計によくあるパターンで、腕時計では3時方向にリューズが配置され、9時方向にスモールセコンドとなります。リューズと秒針が一直線で配置されているのが特徴です。
もう一つは、3時方向にリューズがあり、6時方向にスモールセコンドが配置された、キャリバー6498。蓋付きの懐中時計に使用されることが多く、腕時計では懐中時計と同じ条件で配置されることが多いムーブメント。
以前正美堂とスイスのマーヴィン社が共同開発した懐中時計では、過去の時計を復刻ということもあり、オープンフェイスでありながら3時方向にリューズが配置され、6時方向にスモールセコンドと現行モデルにしては珍しい仕上がりの時計でした。時代が腕時計主流という背景もあり、違和感なく使用していただければとこの配置で製作しました。
すでに完売したモデルですが、見本用のパーツがあったので組み立ててみました。ムーブメントにはあえて6498を使用することで、リューズの配置を12時方向に変更。ユニタスの二つのムーブメントは互換性があるので、こういったカスタムが実現できるのです。
完成した顔を見ると、なかなかいい仕上がりになりました。たまに雰囲気を変えてみるのもいいものです。
正美堂 合田圭四郎

正美堂時計店 ウォッチバイヤー兼時計修理三級技能士 合田圭四郎
主な専門分野
腕時計や懐中時計の仕入れ、販売、オリジナルウォッチのデザインや組み立て。スイスで開催されていた世界の見本市バーゼルワールドや香港ウォッチフェアーなど国内外の展示会への参加。秋葉原にて毎年懐中時計の展示会を開催
時計知識を深めお客様に時計の魅力をお伝えするため、2009年より毎週日曜日YouTubeにて時計に関する勉強会動画を配信。
背景
1979年、高知県高知市の老舗呉服屋の四男として誕生。時計好きが高じて2006年より正美堂時計店に入社。フライトジャケットやジーンズなどアメカジ、バイクをこよなく愛する。あらゆるお客様の環境を理解するため、腕時計は常に左右両方に着用。2019年、正美堂時計店創業50周年の節目の年に正美堂オリジナルウォッチを開発。
●正美堂時計店●
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